マッチメークはタイトルマッチのみ。DEEP☆KICK史上、初めての4大タイトルマッチ『DEEP☆KICK 60』は3月13日テクスピア大阪で行われた。全てメインイベントというマッチメークに、観客は最初から最後まで酔いしれた。なお次回大会(DEEP☆KICK61&62)は6月12日に同じ会場で行われる。「DEEP☆KICK 61」では-53㎏ 王座決定トーナメント決勝、「DEEP☆KICK 62」では-60㎏級タイトルマッチがすでにマッチメークされている。レベルもテンションも高いDEEP☆KICKから目をそらすな!
(文・布施鋼治/写真・石本文子)
メインイベント4 KENTA VS 大石健作
4大タイトルマッチの大トリはKENTA (HAYATO GYM)と大石健作(TEPPEN GYM)による空位のDEEP☆KICK-63㎏級王座決定戦。両者は昨年12月12日の「RISE153」で初対決。このときは激しいデットヒートの末KENTAが判定勝ちを収めている。
再戦は舞台を関西に代え、しかも山畑雄摩(NJKF心将塾)が返上したタイトルを懸けて3ヶ月という短いインターバルで行うことになった。
1R、KENTAが右ローを打つと、大石は嫌がる仕種を見せる。さらに右フックを打たれると、下がって距離をとる。序盤は様子見なのか、打ち合いには応じようとしない。
続く2Rになると、KENTAの手数はさらに増え、右インローで下半身にダメージを与え、左の三日月蹴りで追い打ちをかける。お互いローブローを打ち合う場面もあったが、KENTA優勢という試合の流れは変わらない。終盤に三日月とともにボディへのヒザ蹴りを効かせ、さらに試合の流れをたぐり寄せる。
2Rまでのオープンスコアは1-0でKENTA。3Rになると、KENTAはパンチの連打でさらに前へ。大石はプッシュして自分の距離を掴もうとするが、相手のプレッシャーが強すぎて防戦一方に。この日のフンドシアニキはいつもの元気が感じられなかった。判定は3-0でKENTAに挙がった。
所属するHAYATO GYMではうれしいチャンピオン第1号だ。試合後、初めて腰にチャンピオンベルトを巻いたKENTAは「僕は社会人になってからキックを始めた。才能も身体能力もないけど、強い体に産んでくれた両親に感謝したい」と涙ながらに語った。続けてリングサイドに座っていたRISEの伊藤隆代表に「4月2日のRISE ELDORADOに出たい」と直談判。「元REBELS王者の丹羽圭介と闘いたい」と詰め寄った。大会まで残された時間は少ないだけに今回の実現は難しいかもしれないが、KENTAのやる気は大いに買いだろう。初防衛戦が楽しみな泣きのチャンピオンの誕生だ。
▼メインイベント4 DEEP☆KICK-63kg王座決定戦 3分3R 延長1R
○KENTA (HAYATO GYM)
×大石健作(TEPPEN GYM)
判定3-0(29-28、30-28、29-28)
※KENTAが-63kg第4代王者に
メインイベント3 宮崎就斗 VS 麻太郎
一昨年、山田直樹(KSS健生館)との間で王座決定戦を行う予定だったが、山田が欠場したため暫定王者に認定された宮崎就斗(TARGET)。昨年1月31日には因縁の山田直樹を挑戦者に迎え引き分けながら晴れて正規王者に認定された。今回は正規王者としては初防衛戦となる。リングサイドでは妻と生まれたばかりの子供が見守る。
今回の挑戦者は麻太郎(NJKF健心塾)。DEEP☆KICKでは2度目のタイトル挑戦となる長いリーチが武器の関西期待の新鋭だ。身長は宮崎より6㎝も高いだけに、麻太郎にも十分勝つ目はあると予想されていたが、この日の宮崎は左ミドルキックが冴え渡っていた。
麻太郎が反撃を試みると、宮崎はきれいにカットして追撃をみせる。ラウンド終了間際には右ストレートをスマッシュヒットさせ、宮崎優勢を強く印象づけた。
2Rになると、宮崎の攻撃は加速するばかり。痛烈な左ストレートで麻太郎から先制のダウンを奪う。挑戦者は立ち上がってきたが、すでに青息吐息。
宮崎は十八番の左ミドルで2度目のダウンをとる。とどめは左ストレート。最後は少々強引に倒しにいった感もあったが、倒してこそチャンピオンという自負があったのかもしれない。
試合後、マイクを握った宮崎は「麻太郎選手は動きが速くて、攻撃も強かった」と褒め讃える一方で、王座防衛で自信を深めたのだろう。「DEEP☆KICKの王者として他団体にも乗り込みたい」と宣言した。
ベテランながら対戦相手によっていまだ出来不出来が激しいといわれる宮崎だが、ようやく覚醒してきたか。
▼メインイベント3 DEEP☆KICK-57.5kgタイトルマッチ 3分3R
◎宮崎就斗(TARGET)
×麻太郎(NJKF健心塾)
TKO 2R2分13秒 レフェリーストップ
※宮崎就斗が2度目の防衛に成功
メインイベント2 翔磨 VS 長谷川英翔
今年1月からスタートしたDEEP☆KICK-55㎏級王座決定トーナメント決勝は翔磨 (多田ジム)と長谷川英翔(誠剛館)の間で争われることになった。
翔磨は前回大会で組まれたFUJIMON♡(京都亀岡キックボクシングジム)との準決勝では、2Rにダウンを奪ったうえで勝利を収めている。一方の長谷川はこの階級の前王者だった拳剛の甥っ子。1月の準決勝では久津輪将充が試合直前に体調不良になったため急きょ中止に。長谷川は闘わずして決勝に進出した。実弟・長谷川海翔(誠剛館)は3月13日の昼間に行われた「DEEP☆KICK 59」でKING剛(ROYAL KINGS)を撃破。-53㎏級王座決定トーナメント決勝に駒を進めているだけに、兄として負けられない一戦だった。
1R、お互い距離を十分にとり、相手の出方をうかがいながらローやハイで勝機をうかがう。2Rになると、お互いバッティングを注意される中、翔磨が左のパンチがヒットし始める。このラウンドまでのオープンスコアはひとりだけが20-19で翔磨を支持していた。あとのふたりは20-20のイーブン。
3Rも白熱のシーソーゲームが続いたが、翔磨は終盤ワンツーをヒットさせ、自分が攻撃している印象を強く残した。果たして判定は2-1で翔磨。試合後、新チャンピオンは「KOで勝つと言っていたのに判定になってすいません」と頭を下げた。「僕はチャンピオンになりたかったし、今年のRISE大阪大会に出たくて死に物狂いでした」
DEEP☆KICK-55級王者といえば、現在RISEで活躍する鈴木真彦が保持していたことでも知られている。伝統と栄光に満ちた階級を翔磨はどんな色で染め上げてくれるのか。
▼メインイベント2 DEEP☆KICK-55kg王座決定トーナメント決勝 3分3R 延長1R
○翔磨 (多田ジム)
×長谷川英翔(誠剛館)
判定2-1(30-29、29-30、30-29)
※翔磨が-55kg第6代王者に
メインイベント1 塚本望夢 VS 空龍
今回の4大タイトルマッチの中でも塚本望夢(NJKFteamBonds)と空龍(空修会館)のDEEP☆KICK-51㎏初代王座決定トーナメント決勝は全国のキックファンから熱い視線を注がれていた。ともに現役高校生ながらシニアの中に交じっても何ら遜色のない実力を見せ、トーナメントを勝ち上がってきたからだ。とりわけ空龍は生まれ育った広島に活動の拠点を置きながら、関東のメジャーな団体にも積極的に出場している。今年1月の「RISE154」では数島大陸(及川道場)から殊勲の星を挙げ、RISE軽量級戦線にもその存在を強くアピールしたばかりだ。昨年9月には「KNOCK OUT 2021 vol.4」で花岡竜(橋本道場)とも拳を交わしているので、いま最も注目されるべきフライ級ファイターといっていいだろう。
対する塚本は蛍光ライトがピカピカと点滅するド派手なガウンで入場することでも有名な兵庫県の星。しかし外見だけではなく、幼少期にタイに渡り現地で鍛えた実力はホンモノ。昨年DEEP☆KICKでプロデビューを果たすや、同プロモーションで4戦全勝という快進撃を続け決勝のリングに乗り込んできた。昨年11月の準決勝ではDEEP☆KICK初代-53㎏級王者のタネ ヨシホ(直心会)の実兄タネ♡ヨシキ(直心会)を破っていることを忘れてはいけない。
果たして試合開始のゴングが鳴ると、両者は打ち合うのではなく、ひらりひらりと相手の攻撃を避けながら自分の攻撃を当てようとするハイレベルな攻防を続ける。1R終盤にはその均衡を破るかのように、塚本が右をコツンと当て先制のダウンを奪う。
2Rになると、あとがない空龍は猛反撃。左フックを軸に試合の主導権を奪い返したが、2Rまでのオープンスコアでジャッジは3者とも塚本にフルマークをつけ支持した。
3R、雄叫びを挙げながら空龍は塚本に襲いかかるが、塚本は足を使ってリスクを回避。3-0の判定で初代王者に就いた。
試合後、塚本は「空龍選手に勝ったので、51㎏級では僕が日本一。(今年)RISEで51㎏級のトーナメントをやるならお願いします」とリングサイドで観戦していたRISEの伊藤代表に強くアピールしていた。
▼メインイベント1 DEEP☆KICK-51kg初代王座決定トーナメント決勝 3分3R 延長1R
○塚本望夢(NJKFteamBonds)
×空龍(空修会館)
判定3-0(30-27、30-28、30-27)
※塚本望夢が-51kg初代王者に
◎DEEP☆KICK 59
2022年3月13日(日)
泉大津市・テクスピア大阪
OPEN 11:30 / START 11:45
◎DEEP☆KICK 60
同日開催
OPEN 17:00 / START 17:15
〈会場アクセス〉
〒595-0025 大阪府泉大津市旭町22−45
〈チケット〉
VIP席 ¥15,000 S席 ¥8,000 (DEEP☆KICK 60は完売) A席 ¥6,000
※当日券は¥1,000UP
※一部、二部チケット別料金(全席入替制)
〈チケット販売〉
DEEP☆KICK実行委員会(TEL 06-6754-8588)
または出場選手および所属ジム
〈問い合わせ〉
DEEP☆KICK実行委員会(TEL 06-6754-8588)
https://www.deep-kick.com
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