11月16日(日)豊中市・176BOXにて2部開催の内第2部『DEEP☆KICK ZERO 25』が行われた。大会はアマチュアファイト、OP第1試合からのKO決着で確かに火をつけるとプロ本戦では甲乙つけ難い接戦、そしてド迫力のKO決着の連続で2部興行の幕を閉じた。今回の試合結果によりランキングも大いに動くだろう、来年2026年にニュースターとしてDEEP☆KICKのリングを駆け回る選手の台頭にも期待大だ。次回大会は12月14日(日)DEEP☆KICKのホームである泉大津市・テクスピア大阪にて年内最後の大会となる「DEEP☆KICK 76」の開催が決定している。
(文・三野龍生/写真・石本文子)
メインイベント 上野コウキ vs 津留純平
メインイベントではDEEP☆KICK-60kg第10代王者・健真(BLACK☆Jr)への挑戦権を懸けたDEEP☆KICK-60kg挑戦者決定トーナメントの決勝戦、同級1位の上野コウキ(直心会)と同級2位の津留純平(FASCINATE FIGHT TEAM)が挑戦権を競う。上野はプロ戦績11勝のうち9つがKO勝利という圧倒的なパワーと技術でKOを量産している倒し屋、
対する津留もプロ戦績8勝のうち5つがKOという威力あるパンチに膝を武器にアグレッシブに攻め入る倒し屋という正にKO決着必須と予想される1戦。
上野が今回が4度目のトーナメント出場、津留が今回で3度目のトーナメント出場ということもあり入場してきた両者からは確かな覚悟が見える。互いに健真に敗戦した過去もありやり返したい気持ちも強いだろう、果たしてどちらが相手を地に伏せるか。
そんな期待を知ってか知らずか1R、以外にも試合は静かな立ち上がりを迎える。上野は左ミドル、津留はインローで互いにじっくりと相手を観察していく。すると徐々に互いの狙いが明確になっていく、津留は鋭いジャブを突きながらカーフキックで上野の足を崩しにかかる。対する上野は左ボディに左三日月蹴りで津留のボディを狙っていく。すると瞬く間に上野の足、津留の腹が赤く染まっていき互いの技の破壊力を見せつける。嵐の前の静けさといったところか、緊張感、そしてこの先の期待が膨れ上がるようなラウンドとなり第1R終了。
続く2R、ここでも互いに狙いは変えない。津留はジャブにカーフで上野の足を削り、上野はパンチに膝・三日月蹴りでボディを狙っていく。互いにダメージを受けた部分はどんどんと赤黒くなっていき明らかなダメージが見えるも両者共に顔には一切出さない、淡々と相手を倒すためだけにダメージを蓄えていく。2R終了時点でのオープンスコアは1-0(上野)と僅差。
運命の最終ラウンド。ここで勝負が決まるともあり、ここまでとは打って変わり互いにパンチを軸に近い距離で打ち合いダウン奪取を狙い合う。
そしてその瞬間はすぐに訪れた、津留の顔が下がったところに上野の左ハイキックがクリーンヒット、たたらを踏んで後退する津留に上野の渾身の飛び膝蹴りで津留は倒れこみダウン、上野がここにきて念願のファーストダウンを奪う。
こうなると上野は止まらない、立ち上がってきた津留に再びの左ハイキックで2度目のダウン奪取。
それでも立ち上がり逆転を狙う津留だったが、上野がパンチラッシュで津留をロープに張り付けにしたところでレフェリーが試合をストップ。
3R1分8秒、期待以上と言えるだろうインパクトを見せた上野がTKO勝利を飾り、タイトルマッチ挑戦権を掴んだ。
勝利後、リングには現王者の健真がリングイン。マイクを握ると「4月に(上野選手と)対戦した時、判定で勝てたので次は圧倒的な差を見せるようKOで倒しに行きます」とKO宣言すると、
対する上野は「今回はギリギリのKO勝ちになってしまったんですけど、来年のタイトルマッチに向けて死に物狂いで練習して、チャンピオンになって天狗になっている健真君をボコボコにしようかなと思います、どっちが上か分からせます」とこちらもKO宣言で返した。
両者が向かい合うのは次戦で3度目、1度目は上野が判定勝利、2度目は健真の判定勝利となっている。現在1勝1敗、ここで真の勝利を手にベルトを腰に巻くのはどちらだ。両者は来年3月、テクスピア大阪で開催予定の「DEEP☆KICK 77」にて王者・健真vs挑戦者・上野としてDEEP☆KICK-60kgタイトルマッチで激突する。
▼メインイベント
DEEP☆KICK-60kg挑戦者決定トーナメント決勝 3分3R 延長1R
◎上野コウキ(直心会)
×津留純平(FASCINATE FIGHT TEAM)
TKO 3R1分8秒 レフェリーストップ
※津留純平に3Rダウン×2有り
※上野コウキがタイトルマッチ挑戦権を獲得
セミファイナル 大稚YAMATO vs ファーモンコン・タエンバーンサエ
セミファイナルでは第4試合に引き続きDEEP☆KICK-57.5kg契約として、元ワンソムチャイバンダム級王者の戴冠歴を持つタイ出身のムエタイファイター・ファーモンコン・タエンバーンサエ(ジョウジム)と第2代S-BATTLE KICKフェザー級王者の戴冠歴を持ちNJKFを主戦場に戦う大稚YAMATO(NJKF大和ジム)という互いに首相撲有のルールが本職ともいえる両者が首相撲無しとなるDEEP☆KICKルールで相まみえた。
互いの対応力にも注目が集まる。1R、ファーモンコンはムエタイ特有のゆったりとしたフォームから鋭く威力のあるローキックに左ミドル・左ハイキックと蹴り技を走らせる。
対する大稚はタイミングを計りながらジャブからロー、ストレートに左フックとこちらも威力の見える技を繰り出していく。互いにこれといったヒットはなく、1Rは互いに距離の取り合いとったところだ。
続く2R、互いに手数を増やしていく。中で大稚はストレートを度々ヒットさせていくがファーモンコンは圧をかけながら膝を中心にヒットを重ねていく。
ラウンド中盤からは大稚が下がらされる展開も増え、徐々にファーモンコンの圧力、そしてボディへの飛び膝や左ミドル・膝と攻勢が目立っていく。2R終了時点でのオープンスコアは3者共に20-19でファーモンコンを支持する。
最終ラウンド、更に距離は詰まる。ここで逆転を狙いたい大稚はローを放ちながらストレートを狙っていく。対するファーモンコンはジャブに左ミドル・膝と繰り出していく。
ヒット・ダメージには明確な差が出ないが、前に前にと歩を強める大稚に対してファーモンコンはホールディングも増え、どこか3Rを流している感じも見受けられた。結果、3Rは大稚のアグレッシブさが支持されたか、0-1(ファーモンコン)でドロー、他団体王者同士の1戦は引き分けとなった。
▼セミファイナル DEEP☆KICK-57.5kg契約 3分3R
△大稚YAMATO(NJKF大和ジム)
△ファーモンコン・タエンバーンサエ(ジョウジム)
判定 0-1(29-29、29-30、29-29)
第4試合 嘉武士 vs 聡一郎
第1部・第2部で多く開催されているDEEP☆KICK-57.5kg契約の1戦の中でもひと際大きなインパクトを与えたのはこの試合だろう。同級2位の嘉武士(健心塾)と勝利=KOという爆発力をもつ聡一郎(道化倶楽部)の1戦は大逆転勝利で幕をおろすこととなる。
試合は1R、サウスポーに構える嘉武士と聡一郎は前足でローを蹴り合いながらタイミングを計り合う。
互いに大きな一発はなく、このまま静かな展開が続くと思われた直後、聡一郎が踏み込んできたところに放たれた嘉武士の左フックが聡一郎を捉えるとそのまま聡一郎はゆっくりと倒れこんでいきダウン、嘉武士がファーストダウンを奪う。
会場からもあっけに取られたような声が響く中、ここでスイッチが入ったのは聡一郎だった。再開後、倒しに向かう嘉武士に対し聡一郎はバチバチの打ち合いで迎え撃っていく、とりわけ左右のフックは見てるだけで背筋が凍るような威力を魅せる。
そしてそのフックが嘉武士にヒットし始めると、体重を乗せて放たれた聡一郎の渾身の右フックが嘉武士にクリーンヒット、そのまま嘉武士は倒れこむと嘉武士のダメージを見たレフェリーが即座に試合をストップ。
1R2分27秒、先にダウンを奪われるも持ち前の腕力と前に打ち出る強い心で超ド迫力の一撃KOを奪った聡一郎が逆転勝利を果たした。
これで同級トップランカーである嘉武士を倒しただけあって聡一郎のランキング入りも確実、先に行われるであろうトーナメントの台風の目となるか。
▼第4試合 DEEP☆KICK-57.5kg契約 3分3R
×嘉武士(健心塾)
◎聡一郎(道化倶楽部)
TKO 1R2分27秒 レフェリーストップ
※聡一郎に1Rダウン×1有り
第3試合 GUN vs 迫飛河
DEEP☆KICK-70kg契約の1戦、新極真空手・テコンドー・ムエタイと多彩なバックボーンを持つ韓国出身のGUN(BKジム)とJAPAN CUP KICKミドル級王者・RKSミドル級王者と2本のベルト戴冠歴がある迫飛河(FASCINATE FIGHT TEAM)が激突。
試合は1R、互いに構えをスイッチしながら攻勢を狙う中、先にチャンスを掴んだのは迫だった。圧をかけてくるGUNに対して顔面前蹴りで効かせると、そのまま追撃していき最後は強烈な左フック、GUNが一回転するほどの威力を見せ迫がファーストダウンを奪う。
そこから飛び膝蹴りに三日月蹴りなど多彩な蹴り技で迫は攻め立てていくも倒しきることは叶わず第1R終了。
すると2R、打って変わって今度はGUNの攻勢が冴えわたる。ハイキックに前蹴り・膝など蹴り技を増やしていく、とりわけ前蹴りのタイミングが秀逸でそこから左フックに左ストレートなどパンチもヒットを稼いでいく。
対する迫は左ハイキックやワンツーなどを放つもどこか狙いすぎか、手数に劣る印象だ。2R終了時点でのオープンスコアは2名が19-18、1名が20-18と1Rのダウンも響き3者共に迫を支持。
最終ラウンド、迫は距離を詰めてパンチを狙っていくがここでも目立つのはGUNの攻勢。中でも左のパンチのヒット率が高く、左のジャブ、スイッチして左のストレートとローと膝を絡めながら左のパンチを多く当てていく。
迫もアッパーにワンツーなど繰り出すも2Rに続きここでもGUNのヒットが目立っていく。結果、判定は0-1(迫)。迫が1Rにダウンを奪い優位に立つも、2・3RにGUNが追い上げ結果ドロー、引き分けとなった。
▼第3試合 DEEP☆KICK-70kg契約 3分3R
△GUN(BKジム)
△迫飛河(FASCINATE FIGHT TEAM)
判定 0-1(28-28、28-27、28-28)
※GUNに1Rダウン×1有り
第2試合 和斗 vs 小路督也
DEEP☆KICK-60kg契約の1戦。試合は1R、リング中央に陣取りステップを踏みながらタイミングを計る和斗(NJKF大和ジム)に対し小路督也(BLOW GYM)は細かくカーフをヒットさせていく。
するとラウンド後半には和斗の足が流れる場面も見え、このラウンドは小路のカーフが印象的なラウンドになるかと思われた直後、和斗はフック連打で前に出ていくと流れで左フックが小路を捉え小路がダウン、ラウンド終了間際に和斗がダウンを奪い第1Rをモノにする。
続く2R、1Rより距離が近くなる。前のラウンドでダウンを奪った和斗は左右のフックをぶん回しながら前に打ち出る、対する小路はガードを固めながらこちらもダメージの見える和斗の足にカーフを丁寧に放っていく。
カーフは明らかに効いているだろうが印象的だったのは和斗のフック、足のダメージなどお構いなしに威力の見えるフックをこれでもかと叩き込んでいく。小路も膝にストレートなど返す場面もあったがこのラウンドでも和斗の攻勢が目立つ。2R終了時点でのオープンスコアは3者共に20-17で和斗を支持する。
最終ラウンド、ここで逆転ダウンを狙う小路はやはりダメージの見える和斗の足にカーフキックを放っていく。ラウンド中盤にはバックハンドブローにも光明を見出すと2度もヒットを稼ぐ。
ここで和斗は効いているそぶりがみえたが、倒れない。そこから打ち合いの展開も増え小路は最後まで倒し返しを狙っていったが和斗は2R同様にフックを繰り出しながら決して倒れないタフネスを見せつけて試合終了。結果、判定は30-27で3者共に和斗を支持。1・2Rにダウンを含み有利に試合を進めた和斗が判定勝利を飾った。
▼第2試合 DEEP☆KICK-60kg契約 3分3R
○和斗(NJKF大和ジム)
×小路督也(BLOW GYM)
判定 3-0(30-27、30-27、30-27)
※小路督也に1Rダウン×1有り
第1試合 山﨑愛琉 vs 奥村幸美
今大会唯一の女子対決、-46kg4位であり多彩なテクニックを魅せる山﨑愛琉(TEAM TEPPEN)とプロ2勝目を狙う奥村幸美(OISHI GYM)が向かい合う。試合は1R、早々からプレスをかける奥村は山﨑をコーナーに詰めるとパンチで張り付けにするなど圧力が強い。対する山﨑は入ってきたところにサウスポーから右フック・ストレートに前蹴りと繰り出すも1Rは奥村のプレスが光った印象。
すると続く2Rには今度は山崎が膝・テンカオを使い試合を有利に進めていく。奥村もローを小まめに出すも明らかに歩は弱まり、今度は山崎が膝と前蹴りで好印象を残す。2R終了時点でのオープンスコアはジャッジ2名が19-19、ジャッジ1名が19-20で奥村を支持する。
最終ラウンド、奥村と山﨑どちらが自身の強みを魅せるかと期待される中、ここで気を吐いたのは奥村だった。奥村はプレスを再び強めパンチで前に前にと押し出ていく。
山崎はワンツーに膝の対応を見せるも奥村の圧の強さが際立っていく。ラウンド後半には近距離の攻防も増え山崎の攻めづらいといった表情が見えるようになり、試合終了。
結果、明確なアグレッシブさを見せた奥村が3Rを支持され0-3で判定勝利。プロデビューから2連勝を勝ち取った。
▼第1試合 DEEP☆KICK-47kg契約 2分3R
×山﨑愛琉(TEAM TEPPEN)
○奥村幸美(OISHI GYM)
判定 0-3(28-29、28-30、28-29)
〈オープニングイベント〉
NEXT☆LEVEL提供試合
OPイベント、アマチュアファイトでは4戦が開催。中でもOP第1試合、川崎陽平(INFINITY KICK BOXING GYM) vs 古澤裕樹(LoTgym)の1戦では1R終了間際に川崎が古澤をコーナーに詰めてのラッシュで印象を残すと、2Rもパンチを軸にアグレッシブに前に打ち出ていきスタンディングダウンを奪取しそのままレフェリーストップ。アマチュアファイトながらも2R1分23秒のTKO勝利で大会に確かな火をつけた。
OP第4試合 大前愛虎 vs 平岡一輝
▼OP第4試合 -55kg契約 1分30秒2R
○大前愛虎(TEPPEN GYM 大阪)
×平岡一輝(健慎会)
判定 3-0(20-18、20-17、20-18)
※平岡一輝に1Rダウン×1有り
OP第3試合 三宅湊士 vs 森岡統輝
▼OP第3試合 -47kg契約 1分30秒2R
○三宅湊士(Determination)
×森岡統輝(LoTgym)
判定 3-0(20-18、20-18、20-18)
OP第2試合 田村旭 vs 岸田龍成
▼OP第2試合 -45kg契約 1分30秒2R
×田村旭(BKジム)
○岸田龍成(月心会チーム侍)
判定 0-3(19-20、18-20、19-20)
OP第1試合 川崎陽平 vs 古澤裕樹
▼OP第1試合 -65kg契約 1分30秒2R
◎川崎陽平(INFINITY KICK BOXING GYM)
×古澤裕樹(LoTgym)
TKO 2R1分23秒 レフェリーストップ
※古澤裕樹に2Rダウン×1有り
◎DEEP☆KICK ZERO 24
2025年11月16日(日)
豊中市・176BOX
OPEN 10:50 / START 11:00
◎DEEP☆KICK ZERO 25
同日開催
OPEN 14:50 / START 15:00
〈会場アクセス〉
〒561-0831
大阪府豊中市庄内東町5丁目7-25
電話:06-7898-0888
〈チケット〉
VIP席(指定席) ¥15,000
S席(指定席) ¥8,000
A席(指定席) ¥6,000
スタンディング ¥5,000
※当日券は¥1,000UP
※一部、二部チケット別料金(全席入替制)
〈チケット販売〉
DEEP☆KICK実行委員会(TEL 06-6754-8588)
または出場選手および所属ジム
〈問い合わせ〉
DEEP☆KICK実行委員会(TEL 06-6754-8588)
https://www.deep-kick.com
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