9月20日の株式会社アドバンス presents DEEP☆KICK 80は従来の大会と比べると全5試合とコンパクトな興行だったが、試合数が多ければ満足感も大きいというものではない。案の定、会場となったテクスピア大阪は超満員の観客で膨れ上がった。中でも大トリで行われた加古稟虎と近藤大晟によるDEEP☆KICK-65㎏王座決定トーナメント決勝は、DEEP☆KICK史上に残る激闘となった。
(文・布施鋼治/写真・石本文子)
トリプルメインイベント3 加古稟虎 vs 近藤大晟
「身長やリーチ差を活かし18歳の加古稟虎(team Bonds)が新王者となるのか? それとも体格差を克服して、近藤大晟(及川道場)が戴冠するのか?」
株式会社アドバンス presents DEEP☆KICK 80(9月20日・テクスピア大阪)の大トリで組まれたDEEP☆KICK-65㎏王座決定戦の興味はそこに尽きた。
何しろ両者の身長差は11㎝。リーチ差はそれ以上の差があるように感じられた。
しかしながら試合が始まっても、近藤に焦りの色はない。稟虎コールと大晟コールが激しく交錯する中、近藤は回りながらチャンスを伺う。好機と見るや、ワンツーからの左ボディストレート、あるいはミドルキックで削っていく。
対する加古はハイキックを空ぶっても、それだけ威圧感は十分。コツコツとローキックを当て、ラウンド終了間際にはパンチの連打で一気に攻勢に出た。
続く第2R、近藤はパンチの連打やミドルキックを浴びせる中、ボディにもダメージを与え続け、じわじわと試合の主導権を握る。このラウンド、最初にコールが起こったのは近藤の方だった。そして回りながら左ボディストレートをドンッ。この一撃が効いたのか、加古の動きはみるみるうちに悪くなる。
挽回を奪回しようと加古は打ち合いに挑むが、逆に連打を浴び先制のダウンを奪われてしまう。
なんとか立ち上がってきた加古だったが、ボディにダメージが蓄積していることは明らか。この好機を近藤が見逃すはずがない。痛烈な左フックをクリーンヒットさせ、粘る18歳に引導を渡した。
「ヨッシャァ!」
KO勝ちが決まった瞬間、近藤は雄叫びを上げた。試合後、マイクを向けられると、新王者は「ベルトは獲れたけど、こんなことで満足はしない。林さん(DEEP☆KICK実行委員会代表)、RISEでもう一回試合がしたいのでお願いします」と昨年6月の細越竜之介戦以降ご無沙汰のRISEナンバーシリーズへの再挑戦を口にした。
それにしても、近藤はいかにして身長差やリーチ差を克服したのか。及川道場の及川知浩代表は「僕は現役時代、身体は小さいのに、大きい人たちがやることが多かった」と打ち明ける。「そこで体格差を超える技術をずっと追い求めていたので、すごく伝えやすい。今回は僕の練習体系を大晟用にミックスさせた感じです」
これまで近藤は60㎏級を主戦場にしていたが、今回は65㎏級での戴冠だった。その理由について及川代表は「正直、ライト級で一回大きな失敗(細越に1RKO負け)をしているじゃないですか」と切り出した。「だったら階級を上げ関西で65㎏級のタイトルを獲って、それを名刺代わりにもう一度60㎏で挑戦しようと思いました」
体重調整が厳しくなって階級を上げたわけではない。大きな目標を設定したうえでの一階級上での挑戦だった。もう一度、RISEでのチャンスは訪れるのか。
▼トリプルメインイベント3 DEEP☆KICK-65kg王座決定トーナメント決勝 3分3R 延長1R
×加古稟虎(team Bonds)
◎近藤大晟(及川道場)
TKO 2R2分47秒 レフェリーストップ
※ 加古稟虎に2Rダウン×2有り
※近藤大晟がDEEP☆KICK-65kg第7代王者に
トリプルメインイベント2 陸刃 vs 鉢田歩揮
当初、鉢田歩揮(team Bonds)は練習仲間でもある大輝(DK9)との間でDEEP☆KICK-53㎏王座を争う予定だったが、大輝が練習中のケガで負傷欠場となり、代わりに陸刃(楠誠会館)との間で王座決定戦を行うことになった。陸刃はキックとMMAの二刀流ファイターで、MMAでは今年8月にACF MMAストロー級王座を奪取したばかりだ。
1R、攻勢に出たのは鉢田の方だった。7㎝の身長差を活かすように、ワンツーとカウンターのヒザ蹴りで追い込む。
負けじと陸刃も右のクロスやヒザ蹴りで反撃を試みるが、試合の流れを掴むまでには至らない。
続く2Rも試合の流れは変わらない。鉢田はボディフックやヒザ蹴りで陸刃のボディを殺しにかかる。案の定、オープンスコアは20-19(二者)、20-18といずれも鉢田を支持していた。
3R、もうあとがない陸刃はまわりながらパンチの連打やミドルで攻略しようとするが、鉢田の前進を止められない。
逆にローの猛攻を受け、目立って青息吐息に。2分前にはローによって陸刃からスタンディングダウンを奪い、勝負を決めた。
勝負は判定だったが、そのうち1者は4ポイントもの大差をつける一戦となった。
試合後、鉢田は「とりあえずベルトを獲れてよかった」と語ったあと、対戦する予定だった友人・大輝に「復活を期待している」とエールを送った。そして自分を強くしてくれたteam Bonds勢に感謝の言葉を述べているとうれしさのあまり泣き声になった。
まだ17歳。DEEP☆KICKのチャンピオンベルトを手土産に、東京のリングにも上がるようになるか。
▼トリプルメインイベント2 DEEP☆KICK-53kg王座決定戦 3分3R 延長1R
×陸刃(楠誠会館)
⚪︎鉢田歩揮(team Bonds)
判定 0-3(27-30、26-30、27-30)
※ 陸刃に3Rダウン×1有り
※鉢田歩揮がDEEP☆KICK-53kg第8代王者に
トリプルメインイベント1 奥村幸美 vs 山﨑愛琉
奥村幸美(OISHI GYM)と山﨑愛琉(TEAM TEPPEN)は2025年11月に初対決。奥村が判定で勝利を収めている。それから10カ月、高3となった両者は空位のDEEP☆KICK QUEEN-46㎏王座をかけ再戦することになった。
奥村のセコンドには昨晩東京で大﨑一貴のセコンドに就いたOISHI GYMの大石親子が就く。会場には那須川龍心との激闘を終えたばかりの一貴の姿もあった。
1R開始早々、奥村はセコンドからの「出ろ、出ろ」という指示通り、パワフルなミドルやカウンターのヒザ蹴りを武器に積極的に前に出る。奥村より身長が9㎝高い山﨑は前蹴りで突進を止めたかったが、奥村のパワーの前に後退を余儀なくされる。
2Rになっても奥村の攻勢は止まない。真正面から突っ込むようにしてローやヒザを当てていく。ラウンド終盤には失敗こそしたが、胴回し回転蹴りも繰り出す。
2Rまでのオープンスコアは三者とも20-19で奥村。3R、奥村は山﨑をコーナーに詰め、ヒザの連打を浴びせる。
残り時間15秒、山﨑は必死に打ち合いに挑むも、ときすでに遅し。奥村の牙城を崩すまでには至らなかった。
以前と比べるとひ弱さは消えていたものの、成長の度合いは奥村の方が一歩も二歩も先に進んでいた。3-0での判定勝ちが告げられると、奥村は号泣。
「高校生でベルトを巻くことができて本当にうれしい」と大石陽一郎会長を筆頭とする指導者やジムメイトたちへの感謝の言葉を口にした。
奥村の目標はスーパーヒーロー。DEEP☆KICK QUEENのベルトを通行手形に、次なるステップとしてRISE QUEENアトム級王座を狙う。
▼トリプルメインイベント1 DEEP☆KICK QUEEN -46kg王座決定トーナメント決勝 2分3R 延長1R
○奥村幸美(OISHI GYM)
×山﨑愛琉(TEAM TEPPEN)
判定 3-0(30-28、30-28、30-28)
※奥村幸美がDEEP☆KICK QUEEN -46kg第2代王者に
第2試合 須々田蓮 vs 勝部晴大
▼第2試合 DEEP☆KICK-53kg契約 3分3R
○須々田蓮(team Bonds)
×勝部晴大(VALIENTE)
判定 3-0(20-19、20-18、20-19)
※2R2分15秒に須々田が勝部の偶発的なローブローを被弾、回復をまったが続行不可能とレフェリー・ドクターが判断、2R2分15秒までの判定
※勝部晴大に「ローブロー」×2で減点1有り
第1試合 佐々木佑稲 vs 白井碧斗
▼第1試合 AssessmentMatch-55kg契約 1分30秒3R
○佐々木佑稲(及川道場)
×白井碧斗(TEPPEN GYM 大阪)
判定 3-0(30-27、30-26、30-27)
※ 白井碧斗に1Rダウン×1有り
◎DEEP☆KICK 79
2026年9月20日(日)
泉大津市・テクスピア大阪
OPEN 10:45 / START 11:00
◎株式会社アドバンス presents DEEP☆KICK 80
同日開催
OPEN 16:45 / START 17:00
〈会場アクセス〉
〒595-0025 大阪府泉大津市旭町22-45
〈チケット〉
VIP席(指定席) ¥15,000
S席(指定席) ¥8,000
1階A席(指定席) ¥7,000
2階A席(指定席) ¥6,000
スタンディング ¥5,000
※当日券は¥1,000UP
※一部、二部チケット別料金(全席入替制)
〈チケット販売〉
DEEP☆KICK実行委員会(TEL 06-6727-2001)
または出場選手および所属ジム
〈問い合わせ〉
DEEP☆KICK実行委員会(TEL 06-6727-2001)
https://www.deep-kick.com
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